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D2Cとは

D2Cと呼ばれる短期間にビジネスをグロースさせる手法が話題になっています。従来西海岸のITベンチャーに注目していた投資家達も東海岸のD2C企業に注目を集めています。彼らは何故D2Cに注目しているのでしょうか。

マットレスやスーツケース等を販売し成功を収めたD2Cブランドは、創業初年度で100億円、次年度で200億円、3年目で400億円といった目覚ましい急成長を成し遂げています。従来のプロダクトを堅実に売って、売上を積み上げながら成長していくのではなく、指数関数的な急成長を遂げているのです。

多くのD2Cブランドはベンチャーキャピタルからの資本を入れています。ベンチャーキャピタルは、将来性が高く大きなリターンを見込める企業にしか投資しません。これまでマットレスやスーツケースを売ってる企業に投資する事がなかったベンチャーキャピタルが、D2Cブランドに投資し始めているのです。

なぜ急成長が可能なのか?

なぜそのような成長が可能なのでしょうか。D2Cブランドの特徴からその秘密を考察していきたいと思います。

D2Cはテック企業である

D2Cブランドを扱う企業の特徴として、主にデータドリブンを企業活動に積極的に取り入れられている事からテック企業であると語られます。社員の10~20%ほどデータサイエンティストを雇い積極的にデータ分析に力を入れています。プロダクトの開発・改善、出店計画、広告・マーケティングあらゆる分野でデータ分析を行い、データに基づき綿密な戦略・計画・意思決定がなされている特徴があるといいます。

D2Cは直接販売である

D2Cブランドで外すことが出来ない特徴は直販です。プロダクトの製造から販売まで自社で行うという事です。自社のプロダクトを小売りを通さずに販売する事によって、顧客のデータを取得し、one to oneマーケティングを実践できます。先に述べたテック企業である事が生きるのです。

また直販である特徴から中間マージンをカットしコストを削減することが出来るため、競争力のある価格設定を実現している。ただメーカー直販いわゆるSPA(製造小売業)は、今日ではとりわけ珍しい事ではありません。

従来のSPAは実店舗を増やしながら成長してきました。倉庫の他に各店舗で在庫を保有し店舗毎に売上を計上します。昨今は自社ECサイトも加わり、店舗とは別に在庫を保有し売上を自社ECサイトで計上しています。しかし、D2Cブランドは店舗よりも自社ECサイトありきで始めるというのです。

多くのD2Cブランドは自社ECサイトやアプリでオンラインをベースに販売している。あくまで店舗はショールームの様な位置づけで、販売方法・決済方法は各社様々あるとが、ベースはオンラインで販売するというのです。これにより店舗の在庫は本当に最小限となり、SPAで多く見られる倉庫や店舗に分散しがちな膨大な在庫問題も軽減につながるのではないかと思わます。

また、Eコマースありきであるなら、あえて店舗を作る必要も無いように思われますが、デジタル広告費の高騰の影響でEコマースに比べて、リアル店舗の方がCPAを低く抑えられるといいます。また、オンラインで獲得した顧客よりも、オフラインで獲得した顧客の方がLTVが3.5倍高いことがわかってきました。このようにテック企業ならではのデータを販売戦略に生かしているのです。

また、リアル店舗で接客を受け商品を実際に触り、その場で店員に勧めでお得なスマホアプリでの購入を促され購入した顧客は、2回目以降は店舗に行かなくともアプリから購入できます。アプリをインストールするだけでなく、店舗で既にアプリでの購入体験をしている為、2回目の購入のハードルを著しく下げる効果を期待できます。

D2Cはコト付きのモノを売る

D2Cブランドの特徴としてプロダクトそのものにも変化が認められます。それは「モノ」や「コト」を提供するのではないというのです。D2Cブランドは「コト付きのモノ」を売る。その結果、モノを売りつつも顧客との関係を継続していく事です。

D2Cでは店頭で売り切るモデルと大きく異なる点があります。デジタルで直販するため顧客のデータを得て長期的に関係維持しやすいため、マネタイズするプロダクトやサービスも、売り切りの商品よりも2度3度とリピート購入するプロダクトやサブスクリプション等を取り入れたサービスとの複合型などが成功しているD2Cブランドの主流なモデルです。つまり、顧客との長期的な関係構築からLTVを向上させる戦略にフォーカスしていると言えます。

D2Cはライフスタイルを売る

D2Cブランドはプロダクトを販売するのではなく、その結果得られる体験を販売しているといいます。世界観やライフスタイルを販売しているというのです。

前述のとおりD2Cは売り切り型よりもLTVを上げる方が向いている為、ブランディングも同様の戦略をとる必要があるでしょう。 例えばCasperのマットレスであれば耐用年数が長いため何度もリピート購入してもらえる種別の商品ではありません。そこに、快適な眠りを提供するコンセプトの元ニューヨークで昼寝のスペースのサービス”The Dreamery”を展開しているのです。この快適な眠りという共通の世界観に対し、売り切りのマットレスと昼寝を提供するサービスを包括するブランド戦略が要である事がわかります。

また、AWAYSであればスーツケースを売りつつも、スーツケースに入れるポーチや旅行に関連する様々なプロダクトなど水平型多角化戦略を展開しているのです。旅行ライフを包括したブランド戦略がAWAYの水平型多角化戦略を支えていることがわかります。

以上D2Cブランドに見られる特徴と考察です。

まとめ

現代ではネット以前と比べプロダクトやサービスの比較検討が容易になりました。Amazon、ZOZOTOWN等モール型ECサイトの利用者の増加に伴い、価格や機能の差別化しやすい項目や、写真で魅力を訴求しやすいプロダクトが競争優位になる傾向が顕著になりました。それに呼応するように流通するプロダクトも変化しています。

一方で素材の質感や匂い、一体感、臨場感、味など感覚による強みを持つようなモール型ECサイトで他製品と差別化が困難なプロダクトやサービスは、クチコミを広げやすくなったとはいえ、モール型ECサイトにおいては不利な環境といえると思います。

このようなLTVで稼ぐD2Cブランドが、モール型ECサイトの盲点の穴埋めをするのではないかと期待を寄せています。

  • 小売店やAmazon等モール型ECサイトに卸さずに自社ECサイト直販である事。
  • 直販だからこそ競争力のある価格設定ができ、顧客のデータを取得しone to oneマーケティングを実践できる事。
  • 店舗では体験を重視しアプリ・オンラインでの購入に寄せ、リピート・サブスクリプション等でLTVで稼ぐ事。
  • ブランド構築の目的は価格は上げることではなく、世界観で共感を得る事を重視し水平型多角化戦略を狙う事。

LTVで稼ぐ上手くマッチしそうな新プロダクトをご検討のスタートアップはD2Cを検討されてみてはいかがでしょうか。

博報堂アイスタジオでは、新商品開発のアイデア支援、自社ECサイトの構築支援、ブランド構築支援、運営に伴うグロースハック支援等D2Cに関連する様々なサービス支援を行っております。是非ビジネスのお手伝いをさせて下さい。

 

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博報堂アイ・スタジオは、博報堂グループでデジタル系の高度な制作業務を一手に担い、大企業のデジタルマーケティングの戦略策定から実行支援、その仕組を支えるシステムの開発などを行っておりました。

そうした業務を経て、幸いにしてデジタルトランスフォーメーションに必要なノウハウを持ち合わせております。
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