コラム

サードパーティークッキーに頼らない!オウンドメディアマーケティング

作成者: 小川 暁彦|3/11/25 3:10 AM

 目次
 

クッキーレス時代はもう来ない?

2024年7月、Googleからサードパーティークッキーの廃止を撤回する、との発表がありましたが、結局は現状維持、という事で一安心した方も多いかと思います。

さて、色々と世の中を騒がしていたこのサードパーティクッキーのデータ問題。ご存知の方も多いと思いますが、廃止されると今までリターゲティングとかリマーケティングに使用していたユーザーデータが使えなくなることが問題と考えられていました。

もしサードパーティクッキーが廃止されたら、セグメント&ターゲティングが強みのデジタル広告配信はどうなるのでしょうか。第三者のドメインから発行されるクッキーを使って、Web上の行動をドメインを横断して追跡することができなくなり、訪問先のWebサイトから直接発行されるそのサイト内でしか機能しないクッキー(ファーストパーティデータ)しか使用できなくなる、ということです。
ユーザーの興味関心の特定が難しくなるのでセグメントによる高コンバージョンを狙った精度の高い広告配信も難しくなりますし、ビュースルーコンバージョンの計測ができなくなり、広告の費用対効果の低下や計測のズレが想定されます。

取り急ぎはGoogleでサードパーティークッキーがこれからも使える事にはなりましたが、今後もプライバシー保護やデータ保護の観点からまたいつ廃止論が高まるかわかりません。そこで白羽の矢がたったのが、ファーストパーティーデータを利用できるプラットフォーマーやオウンドメディアによる認知・集客というわけです。

広告中心になりがちなデジタルマーケティングですが、今後は、オウンドメディアも積極的に活用した施策も重要となります。

オウンドメディアの運用って大変

それにしても、企業のオウンドメディアの運用って手間がかかりますよね。自社に関する全ての情報が掲載されてるので更新が頻繁に必要だし、ブランドや商品のサイト内情報設計も膨大、それでいてデータは直接誰でも見れるので、すごくミクロな部分で細かいディレクションが来たり、本質的解決になっていない対処療法的なことを大事にしていたり、とにかく大変です。

デジタルアドを活用したオウンドメディアマーケティングとは?

これまで当社では、ATLと連動したものからリアルイベント主体のもの、オンライン上の獲得を主体にしたものやSNSでの好意形成狙いなどなど、さまざまなプロジェクトを担当させていただきました。

その中でも、オウンドメディアとデジタルアドの連携というのは、効果的な成果を出すためにも必要不可欠です。ペイドメディアやアーンドメディアで獲得した見込み客を集め、信頼関係を構築・育てていき最終的なコンバージョンへと導くには、オウンドメディアが重要になります。
そこで、これまで経験した知見を元に何点かポイントをご紹介します。

ポイント1:まずは全体UX設計

オウンドメディアってとりあえずは必要ってことだから、いろんなプランニングした後に最後に作っとけばいいや!と思いがちですが、実はそうでもないんです。デジタルアドと連携し、効果を出すためには初期設計から行う必要があります。

ちゃんとしたターゲットの態度変容・行動変容を考えると、このオウンドサイトを経由した施策のゴールになることは意外と多く、ここで何を体験させるか、そして実際に行動してくれたかを見るのは非常に重要となります。商材にもよりますが、自社で直接の発信コントロールができる、いわばブランドコミュニケーションのベース基地としての役割は普遍的にあり続けますし、もちろんD2CやEC、獲得系LPなどではさらに重要となります。

こういった設計図をもとに俯瞰で見て、オウンドメディアと他の施策と連携し、

「どこで」「何を伝えて」「どのような態度変容を起こすのか」

という導線の設計をしておくことが、まずは重要なポイントとなります。
これは業種によっていろいろなジャーニーモデルがありますので、それをベースにカスタマイズしていくことが一般的です。

ポイント2:アド/サイト/ソーシャルそれぞれをフレーム化

次にようやく個別の設計・プランニングにとりかかります。

先のUXで整理したそれぞれの目的・役割を連携させてプランニングしていきます。

例えば、アドって大体、インプレッション数かクリック数、もしくは動画なら再生数が指標になりますよね?しかしそれが、全体UXの中での目標が、

ブランドの認知率アップのためにやってるのか
サービスの理解のためにやっているのか
もしくはその両方なのか

で、あるべき姿は変わってきます。

ブランド認知度アップのためであれば、極論クリックしなくてもいいから大きくブランド名が出るバナーであればよく、誘導されたサイトでも大切なのはブランドを覚えてもらうこと。詳細な説明は置いておいて、端的に競合カテゴリー内でのブランド想起をあげるシンプルなLPで良いわけです。

続いてソーシャルでもその場合はSOVが高まることが重要になってくるはずなので、「最近このブランドよく目にするな」という状況を作る、瞬発力あるキャンペーンやクリエイティブの開発を行うことが良いと思われます。

これらのことを踏まえると、それぞれ追うべき指標がわかってくるはず。その効果を分かりやすくするために各施策のクリエティブ表現をフレーム化して連携し、どこからどこへの流入がどの行動を生み出し、効果があると思えるのかを随時検証していきます。

ここでポイントなのは狙いを持って検証することなので、期間を決めて目標を定めて検証することです。その際、もちろんデジタル以外の要因も考えられるのでそれも加味しておくのも大切です。

最後に:クリエイティブの視点もやっぱり大事!

設計や目標・狙い、フレームなどと色々と書きましたが、実際はエクゼキューションとしてまず心を動かせるのか、ということをいつも心がけなければいけません。

手法から入るにせよ、クリエイティブな視点は忘れずに、いわば、左脳(設計)と右脳(クリエイティブ )を行き来してお互いのパフォーマンスを高め、デジタルアドとオウンドメディアを両輪で動かし相乗効果を生んでいくことで、結果、最大限の効果を出していくということが勝ちパターンになるのです。

サードパーティークッキーに頼らないリターゲティングやリマーケティングでは、ユーザーのプライバシーを尊重しながら、よりファーストパーティデータやコンテクスチュアルな手法にシフトすることが鍵となります。デジタル広告とオウンドメディアの連携、そして、より印象的なクリエイティブでユーザー体験を高ることで、効果的なマーケティングが実現するのだと思います。

このように、博報堂アイ・スタジオではオウンドメディアを活用したコミュニケーションはもちろん、IMC(Integrated Marketing Communication)を起点としたさまざまなプロジェクトを担当しておりますので、いつでもご相談ください。