マーケティングの方法はある程度標準化されているものの、自社ビジネスに最適な手法を探し最適化するのはひと苦労です。
そこで今回は、マーケティング活動に取り組むなかで知っておきたい基礎知識から、戦略設計の流れ、代表的なフレームワーク、分析手法などを網羅してご紹介します。
マーケティングとは、自社商品やサービスが自然と売れる仕組みを作ることを意味します。
具体的には、顧客へのアプローチがより効果的になるよう、市場調査から販売戦略立案、広告活動まで一連の施策を管理・実行する活動です。
また、経済学者のピーター・F・ドラッカー氏は、マーケティングの理想は「販売活動が不要になることだ」と指摘しています。
つまり、「顧客を深く理解し、ニーズに合ったサービス・広告を提供することで顧客から自然と選ばれる状態にすること」がマーケティングに求められる完成形ともいえるでしょう。
それでは、マーケティング活動の主なプロセスを4ステップでみていきましょう。
まず最初に、消費者が何を求めているか把握するため、市場の情報を収集し分析を行います。
政府の統計データのほか、アンケートやインタビューなどを実施し、業界の現状や競合他社、自社の認知度、ニーズの変化などを把握しましょう。
次に、市場調査で獲得した情報に基づき、ターゲット層を絞り込み、価格やブランディングなど販売戦略を立てましょう。
後ほど詳しくご紹介する3C分析などのフレームワークを活用し、根拠を明確にしながら施策に落とし込んでいくことが大切です。
決定した戦略に沿って、認知拡大のために情報発信を行います。
テレビ・新聞広告やプレスリリースでのPR、Googleなどの検索エンジン・SNSでのコンテンツ発信など最適な方法を選択しましょう。
最後に、一連のマーケティング活動の成果を評価するため、効果測定・分析を行います。
マーケティング活動の手法はひとつではないため、費用対効果を高め、最適化できるまで改善を続けることが重要です。
ここでは、具体的な戦略の立て方と活用すべきフレームワークについて詳しく見ていきましょう。
マーケティング戦略では、顧客のニーズや自社の強みを明確にし「誰に・なにを・どうやって」届けるのかを検討します。
セグメンテーションは別名「市場細分化」とも呼ばれ、特定の条件に応じて市場をグルーピングする手法です。
顧客の特徴や年齢・職業などの属性、購入履歴などさまざまな条件で分類し、市場ニーズの確認や自社の優位性の確保、戦略の目的の明確化などを行います。
ターゲティングでは、セグメント結果に基づいて「誰に商品を売るべきか」という顧客層を決定します。
例えば「30代女性、会社員、世帯年収700万、共働き」など細かくターゲットを絞ったほうが取るべき施策を具体化しやすくなるのでおすすめです。
ポジショニングは、市場での自社製品の立ち位置を定義する手法です。
万人受けを狙ってもなかなかシェア拡大は難しいので、自社ターゲットに的を絞って強みや差別化できるポイントを探すようにしましょう。
次に、マーケティング戦略立案に役立つフレームワークを4つご紹介します。
3C分析では、Customer(顧客)Company(自社) Competition(競合)の3つの視点から内的環境と外的環境の分析を行います。
「ターゲットにどうアプローチすべきか」「競合と自社の差別化ポイントは?」など、マーケティング戦略を深める場合に便利です。
SWOT分析では、自社サービスを Strength(強み)・ Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4つの視点で整理する手法です。
既存サービスを客観視することで、伸ばすべきポイントや改善点、起こりうるリスクなどを明確化することができます。
STP分析では、マーケティング戦略の立て方でご紹介した「セグメンテーション(S)・ターゲティング(T)・ポジショニング(P)」の3つの分析を行います。
新規市場開拓を行う際にまずはじめに取り組むべき手法で、S→T→Pの順に分析を行うと効果的です。
4P分析ではProduct(商品) Price(価格)Place(販売経路)Promotion(販促手段)の4つの視点から、最適な販売方法を分析します。
なお、4P分析はSTP分析や3C分析などを行ったあと、具体的な施策を考える際に活用するのがおすすめです。
ひと昔前は、マーケティングといえばCMや新聞広告、チラシや電話営業などオフラインが中心でした。
しかし現代ではインターネットの普及により、オンラインでのデジタルマーケティングが主流になっています。
コンテンツマーケティングとは、顧客に有益なコンテンツを発信することで、自然な集客や販売促進を行う手法です。
自社ブログやホームページなどを運営し、定期的な情報発信や、検索エンジン(Google)に対するSEO対策などを行います。
メールマーケティングとは、自社の持つ顧客リストに対してメールマガジン・ステップメールなどを送り、関係構築を図る手法です。
低予算でスタートできるうえ、属性に合わせてパーソナライズしたコンテンツを送ることで顧客のファン化や購買意欲向上に効果があります。
SNSマーケティングは、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどのソーシャルメディアを活用したマーケティング手法全般を指します。
情報拡散力の高さはもちろん、顧客と直接コミュニケーションがとれることもメリットです。
ダイレクトメール(DM)は昔からある手法で、直接顧客に封書やチラシを郵送する手法です。
オンラインではリーチできない顧客層に有効なうえ、視覚的にわかりやすいメリットがあります。新商品やキャンペーンの告知などにも有効です。
アウトバウンドマーケティングとは、テレビやラジオCM、ダイレクトメール、テレマーケティングなど、企業側から直接顧客にアプローチする手法のことです。
顧客のニーズに関わらず配信するため「プッシュ型マーケティング」とも呼ばれ、不特定多数に向けてアピールできることも特徴です。
反対に、顧客自身が情報を検索して自社商品を見つけてもらえるような仕組みを作る手法を、インバウンドマーケティングと呼びます。
最後に、マーケティング施策で成果をあげるために重要なポイントを3つご紹介します。
マーケティングの成功には、顧客視点に立った施策立案が欠かせません。
顧客満足度向上のためにも、ターゲット一人ひとりのニーズに合わせた「One to Oneマーケティング」や「アカウントベースドマーケティング(ABM)」の実現を目指しましょう。
日々マーケティング活動を行っていると、膨大なデータが蓄積します。
購入履歴やWebの行動履歴など収集した顧客データ・販売データなどをよく分析し、次の施策に活かすことが大切です。
ユーザーニーズは複雑化しており、マーケティング活動のすべてを人の手で行うことは困難になりつつあります。
自社課題に応じて、MA(マーケティング自動化システム)やSFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理システム)はもちろん、アクセス解析ツールやBIツールなどを随時導入することが大切です。
マーケティングを実施するための方法には、いくつか決まった型があります。
売上拡大を実現するためにも、自社のビジネスモデルに合ったマーケティングの方法を見るけることが大切です。
まずは代表的なフレームワークを理解し、自社の強みや顧客の特性を分析するところから始めてみましょう。