昨今、スマートフォンに代表されるIOTデバイスの浸透によって、顧客接点は拡大を続けています。
IOTデバイスが多様化してしまっても、顧客データは統合管理していなければ、シームレスな顧客体験は実現できません。そこで、さまざまな顧客接点で得られるデータを統合管理するのが「CDP」、つまり「カスタマーデータプラットフォーム」です。
「CDP」は比較的近年になって浸透してきた呼称で、一昔前は「プライベートDMP」の呼称のほうがより一般的でした。よく「CDPとプライベートDMPは何が違うのか?」と聞かれることがありますが、基本的には同じものを指しています。
DMPは「プライベートDMP」と「パブリックDMP」の2種類に大別されます。
主に自社で取得したデータを格納するのが「プライベートDMP」。対して、第三者で取得したデータを共同で格納していくのが「パブリックDMP」です。
こう書くと難しいですが、要は、
と理解いただければよいでしょう。
※なお昨今では「プライベートDMP」が「CDP」と呼称されるようになったため、いわゆる「パブリックDMP」の機能を指して「DMP」と呼ばれるようになってきています。
このように、基本的にはCDP(プライベートDMP)とDMP(パブリックDMP)は全く別々のものです。 連携するとすれば、たとえばCDPに格納された属性情報を広告配信のターゲティングの際に活かす、といったことが考えられます。
つまりCDP格納されている顧客属性を統計的に分析することで、新規顧客獲得のターゲット像を明確化、そのデータとパブリックDMP上のデモグラフィックデータを組み合わせてコンバージョン確立が高いセグメントに絞って広告配信を行う、といった活用です。
CDPがあれば顧客一人一人の様々なデータの収集、統合が容易に可能になります。
「DWH(データウェアハウス)とは違うのか?」という質問もよく聞かれますが、DWHはあくまで格納が目的で、CDPは格納されたデータを各種デジタルツールで活用するのが目的、という違いがあります。
DWHに格納されたデータは、それ自体を分析することはSQLの知識があれば可能ですが、MAや各種の広告配信システムとの連携はそれ自体では実現できません。
しかしCDPであれば、CDPに格納されたデータを容易にMAやADのシステムに連携することが可能。率直にいえば、デジタル上で行われるありとあらゆるマーケティング活動に使うことができると言っていいでしょう。
たとえば、
といったことが可能。
多くの「CDP」では各種デジタルツールへの連携機能が標準装備されているため、工数のかかる開発を行わずとも容易に各種ツールとデータ連携ができます。
つまりCDPの導入によって、企業が保有するWebアクセスログ、購買情報やフォームから入力される情報、MA経由で送信するメールマガジンやプッシュ通知の開封ログ等、顧客体験におけるさまざまなフェーズでのアクション状況を統合分析できるようになるのです。 これがDWHに無い、CDPの特徴の一つと言えるでしょう。
また、CDPは外部データの取り込みもDWHに比較すると容易。たとえば、WEB広告でコンバージョンし顧客IDを獲得できたユーザー情報については、パブリックDMP上の3rdパーティーデータを取り込み顧客データとの統合を行うことも可能になります。
※パブリックDMPではデータの保持期間が決まっており、一定期間が立つと顧客情報を追い続けることが難しくなります。しかしながら「CDP」に格納したデータは、データ保持期間もコントロールできるため、顧客のライフタイムを超えたデータを格納しておくことが可能です。
ここまで紹介してきたように、CDPは非常に便利です。
しかしCDPはあくまで「顧客体験の改善施策を正確かつ効率的に実施するためのデータ統合基盤」という手段。ただのデータの箱を作ってもあまり意味はなく、顧客に対して最適な体験を提供するためにどのように活用すべきかを考えなければなりません。
本来は、CDPという武器が手札に加える前に、マーケティング戦略の見直しと実行を先んじて行っておくべきでしょう。
そしてマーケティング戦略から逆算して、
といった判断をしていくのです。
ここはCDP導入以前に戦略的に考えるべき箇所であり、経営者やマーケターに対してデータへのリテラシーやデジタルマーケティングのスキルが問われる場面でもあります。
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